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児女英雄伝の十三妹とは? 松本零士と武田泰淳の十三妹(シイサンメイ)に惹かれて。

京劇

ずいぶん前からこのブログに絶対書きたいと思っていたヒロインが十三妹(シイサンメイ)です。

中国・清の文康が書いたと言われる「児女英雄伝」に登場するヒロインで、「侠女」といわれています。「仁侠」の「侠」の字がついているとおり、侠気(おとこぎ)のある女性として描かれています。

しかし、私が読んだものは文康の「児女英雄伝」ではなく、松本零士の「児女英雄伝」と武田泰淳の「十三妹」でした。

これらは文康が書いた原作とは大きくかけ離れたストーリーのようです。

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児女英雄伝とは

元々の「児女英雄伝」は、何玉鳳という娘が十三妹と名を変えて父の仇討ちするという骨格を持ったストーリーです。

その目的を果たす経過で、安公子と張金鳳と運命が絡み合い、十三妹は張金鳳と共に安公子と結婚し大団円を迎えます。

参照 児女英雄伝(コトバンク)

よくあるストーリーで、私たちになじみが無いのは二人で一人の主人を持つという一夫多妻制ぐらいのものです。

このあらすじからすると、とうてい面白そうな小説には思えないのですが、私が手にした松本零士のコミックは全く違ったのでした。

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松本零士版「児女英雄伝」

児女英雄伝 1 (希望コミックス)
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松本零士の「児女英雄伝」は魑魅魍魎が跋扈する世界の物語です。

記憶をなくした「十三妹」が老古仙人から双剣「龍鳳の剣」を渡されるところから、この物語は始まります。

「龍鳳七星剣」は隕鉄からたたき上げられた北斗七星の力を持つ魔剣で、「十三妹」が駆使すればかなうものはないという設定です。

後に父の汚名をすすぐために旅する安驥(あんき:安公子のこと)と、うり二つの女性「張金鳳」を助け、迫り来る13人の刺客を迎え撃つというストーリーに発展します。

ここまで書いただけでも面白そう。
このブログに「十三妹」をとりあげようという動機付けを果たしてくれました。

ところが、このコミックは2巻で続刊ありと表示されながら、3巻以降が出版されることはありませんでした。2巻の出版は1999年のことです。

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武田泰淳の「十三妹」

十三妹(シイサンメイ) (中公文庫)
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武田泰淳の小説「十三妹」は安家に盗賊が忍び込むところからスタートします。

1965年、毎日新聞に連載された小説で、田中芳樹が解説を寄稿しています。
挿画は鶴田謙二ですのでマニアは欲しくなる小説かもしれません。

安公子は既に2人の妻を持っており、第一婦人が「張金鳳」第二婦人が「何玉鳳=十三妹」という設定になっています。

安公子が父親の無実の罪を晴らすために旅に出るストーリーは盛り込まれているものの、「十三妹」は一緒に旅をしませんし、「張金鳳」と「十三妹」の出会いは大きく取り扱われてはいません。

「十三妹」は中国忍者として描かれており、安公子の旅を安泰なものにするために権力者と渡り合ったり、安公子の試験を合格させるために仙人のような魔力を使ったりするエピソードがおさめられています。

「十三妹」の正体はいったい何か?

という引きだけでストーリーを読まされてしまった読後感がありました。

後記

松本零士の「児女英雄伝」にしても、武田泰淳の「十三妹」にしても「十三妹」が描ききられたわけではありません。

しかし、そのキャラクターは十分に魅力のあるものだと感じました。

また、松本零士の「児女英雄伝」で構築された独自の世界観にも興味が尽きません。
今でも、魑魅魍魎の跋扈する松本版「児女英雄伝」の続きを読んでみたいと思っています。

松本版の続きが書かれないのであれば、誰でもいいので「児女英雄伝」の世界を再構築する強者が現れてくれるのを心待ちにしています。

誰か私の「十三妹」に対する消化できない気持ちを晴らしてください。
よろしくお願いいたします。

「侠女」というキャラクターは現代的な要素を持っていると思いませんか?

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