書籍の電子化・自炊のはじめ方
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亡霊を追い続けたヒーロー「矢吹丈(あしたのジョー)」と「巨摩郡(バリバリ伝説)」

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Photo by Danny Choo 

「あしたのジョー」の「矢吹丈」と「バリバリ伝説」の「巨摩郡」は週刊少年マガジンの2大ヒーローです。
少し時代は違いますが、私はどちらも読むことが出来ました。

このふたりはボクシングと2輪レーサーの世界で頂点を目指します。
矢吹丈の最後は頂点に立つことなく燃え尽き、巨摩郡の最後は世界選手権でチャンピオンを手にしています。

この違いは作品背景や時代背景によるものです。

「あしたのジョー」の結末はストーリー上、避けられなかった(破局を描くしかなかった)ように思えます。

また「バリバリ伝説」では、作品に共感する若者が結果を得ることを重視した世代とみられ、頂点に立ったヒーローのその後を描くことは不必要だったといえます。

どちらもその時代の若者たちの絶大な支持を受けました。
しかし、両方を読んでしまうと結末のあり方が象徴するように、全く違った世界観・価値観にある作品だと分かります。

この2つの作品・ヒーロー像には異なる部分が多いものの、ライバルについては共通点を持っています。

このページでは彼らの最大のライバルについて見ていきたいと思います。

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矢吹丈の最大のライバル「力石徹」

あしたのジョー(8)
あしたのジョー(8) image by Amazon

矢吹丈は私の記憶が正しければ、力石徹と4度闘っています。

少年院からの脱走の際

丈は力石に一発でKOされています。

少年院でのボクシング大会

丈は実力にまさる力石と闘うため、クロスカウンターのみに勝機をかけて、見事に引き分けています。

力石出所目前のケンカ試合

丈は拳に石を握り込み力石と対戦、勝負はつきませんでした。

プロとなって力石最後の試合

力石徹は丈と闘うためフェザー級からバンタム級へ減量。
アッパーカットとクロスカウンターの打ち合いで、矢吹に勝利しています。

しかし、この最後の試合の後、力石徹は帰らぬ人となってしまいました。

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その後の矢吹丈

ライバルである力石徹をなくした矢吹丈は、顔面を打てないボクサーとなってしまいます。

しかし、新たなライバル「カーロス・リベラ」との出会いが丈を再び奮い立たせ、ライバルの待つボクシングに情熱を燃やし続けます。

立ち直った丈ですが、減量と闘う「金竜飛戦」、燃え尽きることを追い求めた「ホセ・メンドーサ戦」では、その視線の先に力石徹がいたことは間違いありません。

矢吹丈の情熱はボクシングで頂点をめざすというより、ライバルを倒すという1点に注がれています。その帰結は真っ白になるまで力を出し尽くすしかなかったのです。

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巨摩郡のライバルであり盟友「聖秀吉」

バリバリ伝説(8)
バリバリ伝説(8) image by Amazon

私にとって矢吹丈より強烈なヒーローは巨摩郡でした。
時代的に新しいことと私の年齢がジャストだったことが主な原因です。

ストーリー的にも、少年院や泪橋といったどん底から這い上がるのではなく、上流といえる家庭(しかし欠損家庭)から頂点を目指す戦いの方が時代背景にもマッチしていました。

その巨摩のライバルは聖秀吉以外にも、「星野アキラ」「カルロス・サンダー」「ラルフ・アンダーソン」等がいます。

しかし、プロのレーサーになってからのライバルより、高校時代のライバル「聖秀吉」が圧倒的な存在感を持っていました。

高校時代に「聖秀吉」に出会わなければ巨摩郡が世界の頂点に立つことは決してなかったのです。

聖秀吉の死

聖秀吉は巨摩郡とともに勝利を手にした4時間耐久レースの後、巨摩との峠の走行の帰り道に事故にあい命を落としてしまいます。

バリバリ伝説のストーリーは鈴鹿での耐久レースで最高潮に達したため、その先を続けるために大きな存在をなくすことが必要だったのかもしれません。

ただ、その後のストーリーは郡と歩惟との関係性の強化というスパイスはあったものの、ヒーローの頂点への道のりを追っただけのものと言えます。

「バリバリ伝説」は聖秀吉の死とともに大きなパトスを失ったようにも見えます。
その証拠に最終回の最後の1ページは聖秀吉を峠で追い続けた回想の一文「あの頃のままにー」で終わっています。

巨摩郡がGPでの戦いへの情熱を失いかけたときも、秀吉の存在を思い出し、そして、チャンピオンという結果ではなく速さへの挑戦を決意します。

巨摩の勝利は秀吉の存在なくしてあり得なかったのでした。

重要なキャラクターの死は 物語の再生と言えるのか?

あしたのジョーにしてもバリバリ伝説にしても、重要なキャラクターの死がなければ、その後のストーリーはありえませんでした。

その意味では「死」が物語を先へ進ませたことは間違いありません。
しかし、それはストーリーを発展・再生させたと言えるのでしょうか?

ヒーローはライバルの死を背負いつつ先へ進まなくてはならないのです。
それまでの生き生きとしたヒーロー像はライバルの死によって陰りをおび、悲壮感さえも漂わせることになります。

ヒーローストーリーの帰結はカタストロフィーしかないのかもしれません。
バリバリ伝説にしても、ストーリーを続ければ、郡の死に到達したことは想像に難くありません。

© bluelady.jp


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