「狼男だよ」から46年。「地球樹の女神」から26年。平井和正が巻き込まれた改竄事件から、出版界は何も学ばなかったのだろうか?

kaizan

1週間ほど前、このブログの「平井和正が経験した改竄20周年を経て、ハードカバー版「地球樹の女神」登場!(もしかして30周年もある?)」という記事のアクセスが急激に増えました。

この記事は1999年10月20日に書かれたもので16年前のことです。
そのページに「地球樹の女神」と「クリスタル・チャイルド」の紹介を入れたのが今年の11月20日ごろです。

この16年間でそれほどアクセスを集めたページではありませんでしたので、11月に追記した2つの作品が再ブレイクしたのかと疑いました。

しかし、違ったようです。

徳間書店から1990年ハードカバー版「地球樹の女神 part1」が発売された。 前年まで角川ノベルズから6巻が刊行されていたシリーズである...
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KADOKAWA改竄
作品は「からくり同心 景」シリーズ

ニュースによると今回の改竄騒動の舞台となったのは谷津矢車さんの「からくり同心 景」シリーズだったようです。

からくり同心 景 (角川文庫)
からくり同心 景 (角川文庫) image by Amazon

申し訳ないことに、この作家さんのことは全く知りませんでした。
しかし、この改竄騒動は、お気の毒に感じます。

参照 担当編集者が原稿を改ざん KADOKAWAの新作小説が急きょ発売中止、過去作も回収・絶版に(ねとらぼ)

KADOKAWAの担当編集者による改竄ということらしいですが、平井和正の「地球樹の女神」以来、その体質は何も変わっていないということなのでしょうね。

平井和正が遭遇した改竄事件

平井和正は2度の改竄騒動に巻き込まれています。
著作である「狼男だよ」の改竄から46年、「地球樹の女神」の改竄から26年も経ってしまったので、これらの騒動を知らない方も多数に上るかもしれません。

平井和正のファンならば知っている方が多いと思いますが、知らない方のために少し復習しておきます。

「狼男だよ」の改竄事件についての記述は、平井和正のエッセイ集「夜にかかる虹 上」に詳しく書かれています。

また、「地球樹の女神」については徳間書店刊のハーカバー版「地球樹の女神 PART1」のあとがきに掲載されています。

このあとがきは1990年に書かれたもので「改竄二十周年」というタイトルになっています。
私が過去に書いたページもこのタイトルが元になっています。(もともと「改竄20周年(もしかして30周年)」というタイトルのページでした。)

平井和正の「改竄二十周年」には「狼男だよ」と「地球樹の女神」の改竄箇所の比較がなされています。

そこから改竄例を引用してみます。

「狼男だよ」改竄例

  • 山野組のさしがねらしい→山野組のさしがねが入っているらしい
  • 度を失った→肝を失った
  • 生血→(なまち)とルビを振る

「地球樹の女神」改竄例

  • 修業→修行
  • 括弧内を削除→(グラマー)美女
  • 近頃噂の十三歳の天才少女→近頃噂の十四歳の天才少女

実際には平井和正による詳しい説明がなされていますし、あとがきに掲載された改竄箇所は多数に上ります。

しかし、3例ずつを見るだけでも「狼男だよ」と「地球樹の女神」の改竄とでは質が異なることが分かっていただけるでしょう。

私は改竄された「狼男だよ」を読んだことはありませんが、例にあげたような表記があれば作家の無知を疑いかねない内容です。

「地球樹の女神」については改竄版の小説をリアルで読んでいましたが、まったく違和感を感じませんでした。

しかし、作家の意図をねじ曲げる改竄であったことが、あとがきに詳しく記載されていました。

興味がある方は「地球樹の女神 PART1」のあとがきをご一読ください。

真昼の魔女・鷹は自由に (地球樹の女神)(Amazon)

※古書のため手に入りづらいかもしれません。

いずれにせよ、こうした行為は作家の生んだ作品を破壊する行為であり、絶対あってはならないことです。

平井和正の事件や今回発覚した改竄行為が氷山の一角ではないことを祈るばかりです。

© bluelady.jp

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コメント

  1. アーモンドガイ より:

    こんばんは。
    平井先生VS半村先生のところのご返事、ありがとうございます。

    詳しくは覚えていないのですが、私の記憶では、「HIRAIST」でも改竄か誤植があったようです。
    「印刷ミスを訂正した本と交換するので、希望者は着払いで送り返してください。」という案内状が購入と同時同封か購入後に届いたかしました。
    私は違いを見比べたいと思い、送り返さず訂正本を購入することにしました。
    しかし、仕事が忙しくなり、結局ほとんど見比べないまま、2冊とも他の蔵書に埋もれてしまいました。
    平井先生は、自分の文章にとてもこだわりのある方なので、そのため出版社のミスが許せず、立風、早川、角川、徳間、等々と断絶を繰り返し、本が店頭に並ぶ機会が減っていったことが残念です。(早川は、人事の問題ですが・・・)

    • Lin より:

      アーモンドガイさん、ありがとうございます。
      そうでしたか「HIRAIST」でも…
      知りませんでした。

      私は交換していません。
      私の記憶では「HIRAIST」が壊れて到着しませんでしたか?というような案内があったと思います。
      ひょっとすると、そこに改竄・誤植云々も書かれていたのかもしれません。

      その後「夜にかかる虹」も購入したので、比べてみると分かるかもしれませんね。
      ただ、ページ数が多すぎてもう比べるのは無理です。