デヴィッド・ボウイの傑作「ハンキー・ドリー(Hunky Dory)」はその名の通り「すごく素敵な・申し分ない」アルバムとなったのだが…(1971年12月発表)

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photo by Garry Knight

トニー・ヴィスコンティがT.レックスのプロデュースに専念することになって、ミック・ロンソンはベースにトレヴァー・ボルダーを連れてきました。
こうして後のスパイダースのメンバーがそろうことになります(ミック・ロンソン:G、トレヴァー・ボルダー:B、ミック・ウッドマンジー:Dr)。
スパイダースとピアノのリック・ウェイクマン、そしてボウイのアコースティック・ギターによって、メロディアスなアルバム「ハンキー・ドリー」は作り上げられた。

※「ハンキー・ドリー」は「素敵な・申し分ない」という(米)俗語(このアルバムのおかげで、イギリスでも「ハンキー・ドリー」が普通に使われるようになったらしい)

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ハンキー・ドリーを好きなアルバムとしてあげるアーティストは多いが、このアルバムが脚光を浴びるのは後のこと

マネージャーのトニー・デフリーズの手腕もあってRCAと契約したボウイが最初に発表したアルバムがこの「ハンキー・ドリー」です。
「世界を売った男」の発表以降、トニー・ヴィスコンティとの仲違いやアーノルド・コーンズ プロジェクトの失敗等、様々な苦難はありましたが、デビッド・ボウイはかなりの曲を書きためていました。
こうして、1971年、デヴィッド・ボウイは最も生産的な年を過ごしています。

後のアルバム「ジギー・スターダスト」のスパイダースは既に結成されており、全く同じサウンドをベースとして「ハンキー・ドリー」は作られていますので、「ジギー」のコンセプトから外れた楽曲を集めて先に発表したアルバムと言っていいのかもしれません。
しかし、このアルバムは商業的には失敗し、アルバムがヒットチャートを駆け上るのは「ジギー・スターダスト」の発表を待たなくてはなりませんでした。

このアルバムを好きなアルバムとしてあげるプロのアーティストも多いですが、「ジギー・スターダスト」があってこそ脚光を浴びることになるという運命は、アルバムとしては不遇と言えるかもしれません。

ペルソナではなく現実のボウイを表現したアルバム

ボウイのマニフェストとも言える「Changes」や、ボウイが憧れたアンディー・ウォーホルやルー・リード、ボブ・ディランといったアーティストに影響を受けた曲、息子のゾウイのために歌った曲や精神病を患った兄を歌った曲等、ボウイの身辺をテーマにした楽曲が並んでいます。
「ジギー・スターダスト」は架空の世界を構築したコンセプトアルバムですが、反対に「ハンキー・ドリー」は当時のボウイの現実を見つめたアルバムに仕上がっています。
しかし、詞の内容としてはカウンター・カルチャーを表現しているものもあり、多彩で美しいサウンドのこのアルバムは「ジギー・スターダスト」と同一線上にあるアルバムであることは確実です。

実はこのアルバムを好きなんですが、誰もが支持するので…

Hunky Dory

私もこのアルバムがかなり好きなのですが、誰もが支持するアルバムなのでストレートに好きだと言いにくいですね。

  • Chenges」は「チェ・チェ・チェ・チェンジズ」というフレーズが耳を離れません。
  • Life On Mars」はボウイの楽曲の中でも最も美しいサウンドのひとつだと思います。
  • Quicksand」はライブで聴くと鳥肌が立ちます。
  • Queen Bitch」ブートでご機嫌なライブ曲になっていました。

とにかく初期の最重要アルバムであることは間違いありません。

このアルバムの発表後、SF仕立てのコンセプトアルバム・最高傑作「ジギー・スターダスト」の登場はすぐ目の前に迫っていました。


この記事は「デヴィッド・ボウイのCD12枚組Boxセット「Five Years 1969 – 1973 / ファイヴ・イヤーズ 1969 – 1973」(2015年10月発売/日本盤)〜「Sound+Vision / サウンド+ヴィジョン」」から分割独立させました。
上記の記事が新しい情報になります。

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デビッド・ボウイ: アルバム、ディスコグラフィ、バイオグラフィー

→この記事の参考資料