平井和正のもう一つのサイボーグ・ブルース「エスパーお蘭」

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「エスパーお蘭」は平井和正の短編集「悪徳学園」に収録された短編です。

この短編集には表題作「悪徳学園」もおさめられています。
「悪徳学園」はウルフガイの元になった作品で、短編集「魔女の標的」に収録されている「狼女リツコ」と共に、ウルフガイシリーズには重要な作品となっています。

そのため、「悪徳学園」「狼女リツコ」については短編でありながら何度も読んだ記憶があります。

しかし、「エスパーお蘭」については記憶がほとんど薄れていました。

……

最近出版された全集「冒険の森へ:第4巻 超常能力者」を購入したのを機に、「エスパーお蘭」を再読する機会に恵まれました。

「エスパーお蘭」はもう一つの「サイボーグ・ブルース」というべき作品だったのです。

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エスパーお蘭は虎の時代の作品

平井和正の初期作品は「虎の時代」といわれています。

この「エスパーお蘭」もその時代の作品でしょう。
というのも、人間の悪鬼「タイガー コウ」の名前に明確に記されています。

私は「エスパーお蘭」を読んだのは30年ほど前になるので、超能力者・お蘭を主人公にした物語と思い込んでいたのですが、実際にはそのような単純なものではありませんでした。

「エスパーお蘭」こと「オラン・アズマ」は、人間の悪鬼「タイガー コウ」、超能力者の悪魔「サイコ・ブラスター」に翻弄される役回りを演じています。

そしてサイボーグ特捜官「ショウ・ボールドウィン」に恋してしまうのです。

……

この作品は平井和正の初期作品のエッセンスの全てをつぎ込んだ傑作です。
「お蘭」の姓が「東」なのも感慨深いです。

ストーリーの出だしは超能力で核爆発を起こす「サイコ・ブラスター」によって爆破された超高層ビルのシーンです。

この頃の平井作品には晩年のねちっこいキャラクター描写はかけているものの、一気に作品世界に読者を引き込む魔力は健在です。

場面展開も早いため、ともすればストーリー世界で迷子になってしまいそうですが、「ショウ・ボールドウィン」に注視していればこの作品を理解できると思います。

サイボーグ・ブルースの原型

久々に読んだ平井和正の短編は「サイボーグ・ブルース」のもう一つの原型(一つは野田俊太郎を主人公にした「サイボーグ捜査官」)というべき作品でした。

登場する大統領特別補佐官「ショウ・ボールドウィン」はニグロという設定で「サイボーグ・ブルース」の「アーネスト・ライト」の同一存在といえます。

この「エスパーお蘭」は「サイボーグ・ブルース」の多元宇宙なのかもしれません。

このような重要な作品の記憶をなくしているという事実を気づかされ、平井和正の短編集の再読衝動がこみ上げてきたのでした。

© bluelady.jp

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悪徳学園

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コメント

  1. 流浪牙-NAGARE@KIBA- どうもはじめまして。 より:

    こういう作品こそ、いまアニメ映画化してもイイんじゃあないのかな……と思えてならない
    今日この頃ですが貴殿は如何でしょうか? 尺的にもちょうど適切だと思われますし

    • Lin より:

      流浪牙-NAGARE@KIBA- さん、はじめまして。
      平井和正のページにお書き込みありがとうございます。

      私の平井和正熱は2002年ごろが最高潮でした。
      その後の作品も全て読みましたが、だんだん記憶の衰えと共に明確な作品紹介ができなくなって、もどかしさを感じています。

      再読したい作品ばかりなのですが、時間がとれず…
      一日中、平井和正作品に浸りながら暮らすのが夢です。

      平井和正作品の映画化も夢ですね。