書籍の電子化・自炊のはじめ方
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符合する平井和正と永井豪:ウルフガイとデビルマン、幻魔大戦と凄ノ王

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photo by Kentaro Ohno

夜にかかる虹<下巻>:リム出版に永井豪のデビルマンについて言及されているページを見つけました。
私は平井和正と永井豪の両方が好きで、どちらの作品もほぼ全てをカバーしています。
そのため、両方の作家の作品が妙に符合するものがあるように以前から感じていました。

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ウルフガイ・幻魔大戦とデビルマン

私は平井作品の前にデビルマンを読んでいます。
小説よりマンガ、特に永井豪の作品に触れるのが、早かった私はマジンガーZやデビルマンにのめり込み、毎日のように再読を繰り返しました。
そのため、永井豪がデビルマンのあとがきで(何巻目のあとがきが忘れてしまいました)、「ダンテの神曲に幼い頃出会って、黙示録(アーマゲドン)の世界がずっと心にとどまり続けた」ことを述べられているのを知っていました。

その後、平井和正の作品であるウルフガイ・幻魔大戦と出会うことになります。
平井和正のウルフガイは永井豪のデビルマンと妙に似通っているように思えました。

  • 主人公の名前がどちらも明(不動明王、犬神大明神? から)
  • 変身
  • 苦悩するヒーロー
  • 暴力描写が多い
  • 人間悪を見事に描ききっている

…etc.

幻魔大戦で「ハルマゲドン」という言葉が出てきたとき永井豪は「アーマゲドン」といっていたな。という思いが最初でした。

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幻魔大戦と凄ノ王

永井豪の凄ノ王は幻魔大戦と真幻魔大戦が絶好調の時期に登場しました。
私は、平井和正と同じように永井豪も超能力もののストーリーを描き始めたという印象を持ちました。

凄ノ王がマガジンに連載を開始した年と幻魔大戦が野生時代に連載開始した年は1979年で同じなのです。
私の記憶では幻魔大戦が少し早かったと思います。

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相似性?

私には、二人の作家には奇妙な共通性や相似性が見えていました。
これらは単なる偶然ではないような気がして、お二人はどこかでつながっているのではないかとずっと疑い続けていた時期があります。
とくに大きな「疑念」という訳ではなかったのです。
「両者がつながっていてもいい」と心の底で了解していたような感じでした。

HIRAIST発刊

私の疑いは1988年「HIRAIST」コトダマ社の発刊までくすぶり続けることになります。

平井和正は夜にかかる虹<下巻>:リム出版において以下のように記載されています。
(「夜にかかる虹」は「HIRAIST」の改訂版)

しばらく前のことです。私がウルフガイシリーズ「狼の紋章」「狼の怨歌」を刊行した後に、にわかに急増した読者の手紙の中に、“永井豪”や“デビルマン”が散見されるようになったのは。
(中略)
当時の私は、神学や黙示録文学にあまり関心を抱いていませんでした。神や悪魔の問題についても、私が先記したウルフガイ・シリーズなどでは民俗学的アプローチを試みていたわけです。私の武器はSF流相対主義、合理主義であり、いわば斜に構えて神秘主義を眺めていたわけです。
しかも私の読書歴においては、どういうわけか聖書を初め、ミルトンやダンテは駆け足で通り過ぎてしまった分野であり、その点それらの本をおおいに愛読して育ったとおぼしき永井豪ちゃんとはまったく素養が違うようです。
(中略)
拙作ウルフガイ・シリーズのメイン・テーマが人間悪の追求であるため、暴力描写が正面に押し出され、“デビルマン”の主人公のそれと共通の立場にウルフガイが立っているという印象を読者に与え、前述した投書となって表れてきたのでしょう。なぜなら、ウルフガイ犬神明もデビルマン不動明もともに、“人間”を愛し、救おうと努力しつつ裏切られていく軌道を同一にしている、といえるからです。
(以下略)

出典:「デビルマンについて 永井豪の黙示録」夜にかかる虹<下巻> リム出版 p19

お二人はマンガと小説という全く別のフィールドで仕事をされ、興味自体も違っていたということです。
物理的なつながりは全くなく、これらの作品は世に出たのでありました。(編集者によるのではというような面白みのないことはいいっこなしです)
最後に平井は以下のように記しています。

ところで“デビルマン”においては、サタンと闘う勇者デビルマンは明らかにミカエルの役割を演じているのです。ここにおいて、“デビルマン”は完全な黙示録と化しています。作者がそれを意識していたかどうかは問題ではありません。啓示が与えられなければ決して書けない作品である、という私の意見に、読者の多くは賛成してくれるのではありますまいか。
(以下略)

出典:「デビルマンについて 永井豪の黙示録」夜にかかる虹<下巻> リム出版 p22

この文章によると二人の作家が啓示を受けて自動書記されたという答えが導き出せそうですが、それはあまりにも神秘主義的ですね。
とまれ、私は同時期に優れた作家に出会えたことに感謝して、これからもお二人の作品を愛読していきたいと思います。

MOVIE REALIZATION デビルマン


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