F1 2015年シーズン 、ホンダ・パワーユニットが抱えたデプロイメント問題のまとめ

HONDA
image photo by Zengame 

ホンダのパワーユニットにデプロイメントの問題があることが分かったのは2015年シーズンの後半戦になってからです。

第15戦のロシアGPで2015年の全トークンが消化され、アップグレードされたICE(通常エンジン)がマクラーレン・ホンダのマシンに搭載されました。

しかし、デプロイ問題は改善されていません。

以下では、2015年の最終型のホンダ・パワーユニット(スペック4)を積んだマクラーレン・ホンダのロシアGPでの状況とデプロイメント問題をまとめておきます。

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2015年、最終アップグレード版パワーユニットは依然としてデプロイメント問題を抱えたまま。
第15戦ロシアGP時点のマクラーレン・ホンダの状況

FP3でのクラッシュでトロ・ロッソのサインツの健康状態が心配ですが、予選は順当にメルセデス勢がトップ3となりました。

ホンダはFP1でスペック4のICE(通常エンジン)をアロンソの車にだけ搭載しています。これで、最後の4トークンを消費したことになります。
その後、FP2からは鈴鹿と同じスペックに戻していますので、アロンソは25グリッドペナルティーとなり、決勝は最後尾からのスタートです。
アロンソはF1参戦250戦目のメモリアルレースですが、期待薄のレースになります。

予選のマクラーレン・ホンダはアロンソがQ1で敗退していますが、おそらくバトンをQ2に進ませるために手を抜いたのだと思います。

予選結果は以下のようなトップ3になりました。

  1. ロズベルグ
  2. ハミルトン
  3. ボッタス

トップ2はいつも通りメルセデスだったので、明日もアクシデントがなければ、そのまま優勝を奪ってしまいそうです。

燃費のきついサーキットなので、やはりメルセデス・パワーユニット(PU)勢が強いんじゃないでしょうか。

ロシアGP予選はマクラーレン・ホンダファンにとって見るべきものがありませんでした。

ホンダが消費した4トークン

最後の4トークンは予定通りICEのスペックアップに消費されています。
その他、MGU-H、ターボも新しいものになっていますが、これらは信頼性アップの改善に留まっています。

スペック4のICEはFP1のみの投入でしたので、実際の性能アップがどれほどのものかは分かりません。

弱点のERS(エネルギー回生システム)が改善されたわけではないので、大きな速さの向上はないものと思われます。

ホンダの弱点となっているデプロイメント

ホンダは全トークンを消費しましたが、相変わらず弱点となっているデプロイ問題の概略をまとめておきます。


ERSはMGU-K(運動エネルギー回生)とMGU-H(熱エネルギー回生)の2つがあります。

MGU-Kのエネルギー回生でバッテリーに蓄えられる量は2メガジュール/1周、バッテリーから放出できるエネルギー量は4メガジュール/1周と決められています。
そのエネルギーを最大出力(120kW=161馬力)で使った場合の持続時間は約33秒になります。

この時のPUの最大出力はICEのパワー(約700馬力)+MGU-Kのパワー(約160馬力)となります。

MGU-Kについては回生量・放出量ともに規定値(エネルギー:4Mj、パワー:120kW)があるため、全てのPUで差がつきません。

しかし、MGU-Hには回生量・放出量ともに制限がなく、そのエネルギーをどう使うかでPU性能が違って来ます。

MGU-Hの回生パワーは主に以下の3つの用途として使うことが出来ます。

  • バッテリーへの蓄電
  • ターボコンプレッサーの増速
  • MGU-Kにエネルギーを供給

MGU-HのエネルギーをMGU-Kに供給すれば、33秒を超えてパワーを使うことも可能になります。


具体的には、

ERSのパワーは基本的には直線で使用します。
そのため、直線の多いサーキットでは全てのパワーアシストを使ってしまうこともあり得ます。その場合はPUのパワーは約160馬力ダウンすることになります。

ホンダの場合はパワーアシストが早く切れてしまって、ICEのパワー(約700馬力)のみで走る時間が長くなります。
結果ストレートで簡単にぬかれるのです。

たとえルノーよりICEパワーが25馬力上まわっていたとしても、PUとして約160馬力のパワーダウンがあるので、なんの役にも立ちません。

デプロイの改善は2016年シーズンに持ち越し

ホンダPUの特徴は「サイズゼロ」のコンパクト思想を実現するため、エンジンのVバンク内にターボチャージャーとMGU-Hが収まっていると言われています。その構造のために多くの弊害が生まれています。

マクラーレン・ホンダのパワーユニットレイアウトが明らかになりました。 独自のレイアウトを採用したホンダパワーユニット「RA615H...

軸流コンプレッサーとMGU-HがVバンク内に収まっているため、熱害が発生しやすい。
また、小型化されたMGU-Hによりデプロイ性能を上げられないと考えられます。

参照ホンダ製パワーユニットRA615Hのレイアウト解説(AUTO SPORT web)

デプロイを改善するためにはPU自体のレイアウトを変える必要があります。
しかし、レギュレーションに阻まれた今期の改善は不可能なのです。

ホンダF1プロジェクト総責任者:新井康久氏

「我々が遅れていることはわかっていますので、来シーズンのエンジンの準備を始めています。その中にはレイアウト変更も含まれており、予定通りに進んでいると言っていいでしょう。大躍進できることを期待しています」

出典ホンダF1 「2016年の“大躍進”を目指している」(F1-Gate.com)

残りの5戦はテストレースといえるでしょう。

参照フェルナンド・アロンソ 「残り5レースでやれることはあまりない」(F1-Gate.com)

来期のためにマクラーレン・ホンダはさらなる努力を続けています。
レース結果ではないところで、応援したいと思います。

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