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青春の作家・富島健夫の自伝的小説「青春の野望」

 

このところずっと富島健夫の「青春の野望」(全5巻)を読んでいました。

青春の野望 富島健夫

  • 第一部 錦ヶ丘恋歌
  • 第二部 愛と夢と現身と
  • 第三部 早稲田の阿呆たち
  • 第四部 学生作家の群
  • 第五部 人生、進むべし

1冊が、それぞれ500〜600ページもある大長編です。

週刊プレイボーイに連載された作品で、富島健夫の自伝的小説と言われていました。

私が最初に読んだのは大学生の時でした。

集英社文庫の発売と同時に読んでいます。

その頃、富島健夫を官能小説家と思い込んでいました。

しかし、どうやら間違っているようなのです。

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「青春の野望」

青春の野望 第1部 (集英社文庫 125-A)
青春の野望 第1部 (集英社文庫 125-A) image by Amazon

 

私が富島健夫のファンになったのは「青春の野望」を読んでからでした。

この作品は主人公「若杉良平」の旧制中学時代から早稲田で作家になる糸口を見つけるまでが語られます。

連載された雑誌が「週刊プレイボーイ」であることからも分かるように官能小説としての側面も持っています。

しかし、主題は青春時代の純粋な愛や夢を表なのです。

意中の恋人「美子」との関係は最も大事に描かれており、長大なストーリーのようやく半ばにして結ばれることになります。

しかし、すでに新しい恋人「小里」との出会いがあり、彼女たちの間で迷いながらも、男性であることに一種甘えた考えから自分の行為を正当化しているようにも見えます。

彼女たちへの愛の結末は、この小説では語れているわけではなく、文芸雑誌「新流」に応募した良平の作品が入選するところで締めくくられています。

官能的な表現にとらわれることなく、主人公たちの純粋な心を追いかければ、これ以上の青春小説を見つけるのは困難だと分かります。

それに、富島健夫の描く性は人の心の表出だと感じられますし、官能的表現も少しも気持ち悪くないのです。

「青春の野望」は、作家志望の主人公が様々な人生経験を積みながら、夢への糸口を掴む。
痛快な青春小説と言えるでしょう。

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青春小説家・富島健夫

富島健夫はコバルト文庫でも数多くの作品を発表しています。

関根恵子で知られている「おさな妻」の原作は富島健夫でコバルト文庫に発表されていました。

富島健夫は「ジュニア」作品において、性について真正面から挑んでいるのです。

そして、青春というある種の迷いやゆらめきのようなものを性を通して表現することに成功しているのでした。
まさに、富島文学の極地と言える作品かもしれません。

少女向けともいえるコバルト文庫でこのような作品を発表したことは、富島健夫の非凡さを表しています。

……

富島健夫の作品は時代とは無関係なものを表現しています。

最初に読んでから30年経った作品でありながら、今でも心を打ちます。

このような作家に、その作品に出会えたことはとても喜ばしいことです。

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